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vol.5 アドニスの庭、窓の外の幽霊

曽布川 祐、中村菜月

Curated by Ryusei Ichinose

2024.3.24(Sat) - 4.21(Sun)

13:00 - 19:00

Statement

子供の頃、「幽霊をみた」と嘘をついたことがある。なぜそんな嘘をついたのかは 全く覚えていない。確かなのは「幽霊がいる」ということをなんとなく信じてい たことだけだ。見たことはないけれど、それでもそれらは「きっとそこにある」という感覚。それは友達が見たとか、テレビでやっているのを見たとか、 そうした他愛もない「子供だまし」の目撃談の影響だったのかもしれない。年齢を重ねるにつれてそうした「あいまいな存在」 は消されていった。消されていったというよりは許されなくなった、という方が正しいのかもしれない。 再現性のない「あいまいな存在」はその不確かな手触りで私たちの生活を撹乱してしまう。不確定で不安定な世界で、少しでも確定的な自分の自我を保つために、私たちは必死に認識のスクラップアンドビルドを繰り返す。 それでもその「あいまいな存在」は完全に消えることはない。幽霊とは多分そんなものだったはずだ。 嘘のための幽霊を、ながめる窓の外に見える幽霊をもう一度思い描く。箱庭のように世界をセルフビルドしていく感覚を思い出すために。

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